シチリアが世界に誇るマルサラワインは、スペインのシェリー酒やポルトガルのポート酒などと並んで、長期輸送に耐え得るよう酒精を強化したワインです。もともとは、18世紀大航海時代、イギリス人貿易商ウッドハウスが、シチリア西端の港町マルサラで出会った白ワインにアルコールを添加したのが始まりです。その後、このウッドハウスと手を組み、1833年に起業したのがヴィンチェンツォ・フローリオ氏。当時から近代的な考えのもと、輸送に便利な海に近い土地に醸造所を建築する傍ら、大々的な広告を打ち、イタリア国内外にマルサラを紹介していきました。まさに “マルサラワイン” の歴史はフローリオが培ってきたといっても過言ではないのです。
現在は、マルサラワイン製造者としてトップシェアーを誇り、アメリカ、イギリス、フランス、日本をはじめとする世界35カ国に向けて輸出をしています。シチリアの伝統ワインを総合的にプロデュースする、という壮大なプロジェクトのもと、21世紀の今も躍進し続けています。
マルサラ酒はD.O.C.(原産地統制呼称)として、原産ブドウの種類や栽培エリア、醸造方法など全て伝統的な手法を用いるよう定められています。
マルサラ酒は、熟成年数の違いや甘さ(1L当たりの残存糖分)の違いによって様々なタイプに分けられます。
タイプ別 | アルコール度数 | 熟成期間 |
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Fine(フィーネ) | 17% | 1年 |
Superiore(スペリオーレ) | 18% | 2年 |
Superiore Reserva(スペリオーレ・リゼルヴァ) | 18% | 4年 |
Vergine(ヴェルジネ) | 18% | 5年 |
Vergine Stravecchio(ヴェルジネ・ストラヴェッキオ) | 18% | 10年 |
甘さ | 残存糖分 |
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セッコ(辛口) | 40g/L未満 |
セミ・セッコ(半辛口) | 40-100g/L |
ドルチェ(甘口) | 100g/L以上 |